不用意な引用とリツイートに注意

ちょっと待って! そのリツイート大丈夫?

Twitterで他人のツイートを一言一句変更せず、自分の名前で書き込む「リツイート」。面白いツイートや気になったツイートを簡単にみんなに紹介できるので、多用している人も多いのではないでしょうか。この「リツイート」は、つぶやきがフォロワーからフォロワーへと拡散していくために必要なもので、これがTwitterの面白さや魅力でもあります。
ところが、不用意なリツイートによって「名誉毀損罪」や「業務妨害罪」など、思いもかけない大きな問題になってしまう可能性があります。いわゆる「炎上」に加担したり、「大事件に関係している人の個人情報」などをリツイートする方が最近増えていますが、最悪法的責任を問われ、損害賠償請求をされる可能性もあるのです。

リツイートは「情報の拡散」か「事実の公開」か?

リツイート画面

たとえば、「万引きした」といった犯罪をほのめかすツイートをリツイートした場合、本人が告白している情報を広めただけなので何も問題がないように思われますが、この場合でも法的責任を問われる可能性があります。というのも、このリツイートが「窃盗犯であるという事実を指摘したために、元のツイートをした人の名誉を毀損した」と捉えられた場合、「名誉棄損罪」が成立するからです(名誉毀損罪は名誉を毀損する事実の指摘で成立する。詳細は次項参照)。
そのため、このリツイートが「情報の拡散」にあたるのか、「事実の指摘」にあたるのか、ということが争点になるのですが、これには下記のふたつの考え方があります。
1:「事実の公開」は元のツイートのみで、リツイートは「情報の拡散」に過ぎないので、「事実の公開」にあたらない。
2:元ツイートの内容を引用する行為と同じであり、新たに「事実の公開」を行うことになる。
つまり、2の考え方の場合、法的責任が問われる可能性がでてくるのです。現時点でリツイートに関する判例はなく、どちらになるかはなんとも言えないのですが、「犯罪」になる可能性があることは覚えておきましょう。

たとえ事実でも名誉毀損罪は成立する

「名誉毀損で訴えてやる」というフレーズは良く聞きますが、名誉毀損には「刑法」と「民法」、それぞれに規定があることをご存知でしょうか? まず、刑法の「名誉毀損罪」とは、「公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した者は、その事実の有無にかかわらず、3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金に処する」(刑法230条1項)というものです。簡単に言えば、事実かどうかに関係なく悪口を広めてはいけないということです。
一方、民法の「名誉毀損」は、「人の品性、徳行、名声、信用等の人格的価値について社会から受ける客観的評価である名誉を違法に侵害された者は、損害賠償(民法710条)又は名誉回復のための処分(同法723条)を求めることができる」というものです。ただし、どちらもその内容が公共の利害に関することである場合は除外されます。つまり、「名誉毀損で訴えてやる」というセリフは、この民事上の「名誉毀損」を指しているわけです。
そのため、前述したように「万引きした」といった犯罪自慢のツイートをリツイートした場合、それが事実であっても「名誉毀損罪」になる可能性があるのです。また、本人に「名誉毀損」だとして損害賠償請求を起こされる可能性もゼロではありません。

「他の人が言っていたから」は通用しない

リツイートとは、ツイッターでの他人の書き込みを一言一句変更せず、自分の名前で書き込むことです。そのため、自分の発言ではないので責任はないと考えてしまいがちです。しかし、ここまで解説してきたように、「引用やリツイートであっても法的責任を問われることがある」と考えるのが正解でしょう。
現在までのところ、リツイートで罪に問われた事例はありませんが、「児童ポルノをアップした他人のサイトのURLを掲載」したことで、「児童ポルノの公然陳列罪」に問われ、有罪判決となった例があります(URL事件)。つまり、いくら元が他人の投稿であっても、「他の人が言っていたから」という言い訳は通用しないと考えた方が良いでしょう。

「書いたこと」には責任が発生する!

繰り返しますが、たとえリツイートや引用であっても、基本的に自分の書き込んだ内容については法的な責任が発生します。ネットでは匿名性があるため、無責任な書き込みをしてしまいがちですが、匿名だからといって法的責任がなくなるわけではありません。「書いたこと」すべてに対して、最終的には書いた人が責任を持たなければならないのです。
実際、匿名の掲示板でお笑いタレントを「殺人事件の犯人」だとして、事実無根の誹謗・中傷を続けた19人が検挙されるなど、無自覚な「書き込み」によって逮捕される例は決して少なくありません。
そのほか、「殺人予告」「犯罪予告」などの掲示板への書き込みや「犯罪行為」が明らかな投稿などで、TwitterやSNSが炎上し、逮捕に至った例も数多くあります。下記に有名な事件をまとめてありますので、くれぐれも真似しないようにしてください。

概要 逮捕容疑 結果
・滋賀県のボウリング場で女性店員に因縁をつけて土下座を強要
・写真をTwitterに投稿し炎上
・男性1人と少女2人が逮捕される
強要罪 ・被告の男性に懲役8カ月の判決
・少女2人は大津家裁に送致
・札幌市の衣料品店でクレームを入れ店長代理らに土下座を強要
・写真をTwitterに投稿し炎上
・看護職の女性が逮捕される
強要罪 ・名誉毀損罪で被告の女性に罰金30万円の略式命令
・民事損害賠償請求事件で被告の女性に150万円の支払い命令
・大阪府のコンビニで店内トラブルから店長らに土下座を強要&金品などを要求
・YoutubeやTwitterにその様子を投稿し炎上
・男性2人、女性1人、少女1人の計4人が逮捕される
恐喝 ・男性2人それぞれに懲役2年執行猶予4年の判決
・女性被告に懲役2年・執行猶予4年の判決
・未成年の女性に中等少年院送致の判決
・釧路市で悪ふざけでミニパトカーの屋根に上がり、その様子を撮影
・写真をTwitterに投稿し炎上
・少年2人が逮捕される
器物損壊容疑 ・書類送検
・金沢市の餃子店で複数名の男性が全裸でカウンターに座り、その様子を撮影
・写真をTwitterに投稿し炎上
・威力業務妨害と公然わいせつの疑いで男性たちが逮捕された。被害にあった餃子店は閉店
威力業務妨害
公然わいせつ
・威力業務妨害容疑は不起訴
・公然わいせつ容疑は証拠不十分のため、罪状を軽犯罪法違反罪に切り替え、9人が略式起訴され科料5000〜9000円の略式命令
・1人は起訴猶予処分
・東京都の飲食店でアルバイトの男子大学生が食品が入った冷蔵庫に入って撮影
・写真をTwitterに投稿し炎上
・当該店舗は閉店。男子学生は運営会社から損害賠償請求を検討された
・閉店に伴う損害賠償請求を検討
・京都府のコンビニでアイスクリームケースの中に入った姿を撮影
・Twitterに投稿し炎上
・店舗はアイスクリーム約470個を廃棄し、冷凍庫を交換。少年3人が逮捕された
威力業務妨害 ・書類送検
・静岡市の男子高校生4人がコンビニで、アイスケースに入った商品のアイスに顔を押し付け撮影
・Twitterに投稿し炎上
・高校生と保護者、教諭らが来店し謝罪、商品の廃棄などにかかった費用を弁償金として支払ったことで和解。
・神戸市の地下鉄の駅で、男子高校生が線路上に立ち入り写真を撮影
・Twitterに投稿し炎上
・神戸市交通局が警察に相談
軽犯罪法違反
鉄道営業法違反
・高校が2人を謹慎処分
・鉄道営業法違反などで6人を家裁送致
・大阪府のテーマパークで男子大学生が迷惑行為を行い撮影
・Twitterに投稿し炎上
・ほかにも迷惑行為をしていた大学生の存在が発覚し、テーマパーク側が被害届を提出。複数の学生らが逮捕された
威力業務妨害 ・大学生数人を書類送検
・京都府の男子大学生が音楽フェスへの参加を断られたことを逆恨みし、Twitterに爆破予告を投稿し炎上
・後に「爆破しませんでした」と投稿するも、リハーサルが中止になり、大学生は逮捕された
威力業務妨害 ・書類送検
・茨城県の大学生が殺人をほのめかすツイートを投稿をし炎上
・男子大学生1人が逮捕された
偽計業務妨害 ・書類送検
・岐阜市の男子高校生が岐阜駅を爆破する予告をTwitterに投稿し炎上
・高校生が逮捕された
偽計業務妨害 ・書類送検
・インターネット通信のできる携帯型ゲーム機からバスジャックを予告する書き込みをTwitterに投稿
・バス会社が警戒態勢を取る。兵庫県の男子中学生が逮捕される
威力業務妨害 ・書類送検
・名古屋で起きた事件を真似し、通り魔及び爆破予告の書き込みをTwitterに投稿
・投稿を読んだ人が警察に通報。兵庫県の男子中学生が逮捕された
威力業務妨害 ・書類送検
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